秋田県横手市梅の木町18-9

「硬膜外ブロックは痛くない?」

痛みの治療を専門にするペインクリニックで、よく用いられる治療法の一つに「硬膜外ブロック」という方法がある。この神経ブロックは腰痛や帯状疱疹など多くの痛みに効果がある。ところがこの硬膜外ブロックをとても痛い注射だと思っている人が意外に多い。痛いどころか、「恐い」、「効かない」、「半身不随になる」と思っている人もいる。

とんでもない話である。そんなに危ない注射を毎日やっていたら、大変な事になる。患者さんは恐がって来なくなり、ちっぽけな医院はとっくに潰れて、医者とその家族は路頭に迷っている事であろう。大体常識的に考えて、大の大人が痛み苦しむような治療をれっきとした医者が無理矢理するはずがない⋯と思う。だが、患者さんの話を良く聞くと、「痛い思い」や「恐い思い」をした人がいるというのは、どうやら本当らしいのである。

4、5人に押さえつけられながら腰に注射された50歳代男性の例:「2、3年前、腰椎椎間板ヘルニアの治療で入院し、持続硬膜外ブロックを2週間受けた。その時、腰にカテーテルを入れる注射が痛くて痛くて、とてもジッとしていられなくて、看護婦さんたち4、5人に体を押さえつけられながらようやく入れてもらった。」

盲腸の手術のとき腰の注射が痛くて大変だった、以来ブロックが恐い40歳代女性の例:「中学生の時に盲腸の手術を受けた。その時の腰の麻酔の注射が痛くて痛くて、今でも思い出すだけで恐くなる。硬膜外ブロックがその時と同じ注射なら絶対やりたくない。」

お二人とも腰の注射(前者は持続硬膜外ブロック、後者は腰椎麻酔)でとても痛い思いをされたようだ。誠にお気の毒な話ではあるが、たまたま何かの理由で局所麻酔の効きが悪かったか、不十分だった可能性が高い。なぜなら、局所麻酔が十分効いていれば、腰椎麻酔も硬膜外ブロックもそれほど痛くないはずなのである。ちなみに硬膜外ブロックの場合、まず細い針で皮膚に局所麻酔の注射をする。この注射でその後のブロック注射の痛みはほとんど感じなくなる。治療は通常5分位で終わる。あとは麻酔(腰部のブロックでは足の感覚が鈍くなる)から回復するまで、30〜40分ベッドで休んでもらうだけである。ベッドを仕切るカーテンの中から健やかな寝息(時にはいびき)が聞こえる事もまれではない。先の例にあげたお二人には、良く説明した上で実際に硬膜外ブロックを受けてもらった。「あれっ、もう終わったの?」、「前とは別だ」などと驚かれた。

「硬膜外ブロックは痛くない」と思う。なぜ「思う」なのかは、まだ自分自身はやってもらったことが無いからである。(追加:一昨年腰椎椎間板ヘルニアになり、後輩の麻酔科医にやってもらいました。少し不安でしたが、痛くなかったです)。どんなに良い治療でも、痛くなく苦しくないようにやらなくては意味がないと私は思う。

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