秋田県横手市梅の木町18-9

「副作用は無いのですか?」

痛みの治療を専門にするペインクリニックで、患者さんに神経ブロックの説明をしていると、「その注射に副作用は無いのですか?」と聞かれることがあります。治療する方は毎日特に問題なくやっていますのでなんとも感じないのですが、治療を受ける側としては、特に初めての場合は、やはり心配だと思います。「そういうことは一切ありません」と言って安心させてあげたいところですが、神経ブロックの場合そう簡単にはいきません。なぜなら、神経ブロック後には一時的ですが、必ず体に何らかの変化が起きるからです。治療する前にそのことを患者さんに良く説明して、理解していただく必要があります。また、「副作用」と一言でいっても、患者さんが実際に心配している内容や程度は様々です。ここでは、最も一般的な硬膜外ブロックを例にとって、二つのパターンを説明してみます。

まずは、「神経ブロックを受けたあとはどんな風になるのだろう」と漠然と心配されている患者さんの場合です。腰部の硬膜外ブロックでは、足が温かくなる、足やお尻がモソモソする、足に力が入りにくい、少し血圧が下がる、などの変化が起きます。人によって程度はさまざまですが、中には不快に感じたり、びっくりされたりする方もいるかもしれません。このような患者さんには、神経ブロック後に起こる症状を説明して「このような変化は神経ブロックが良く効いている証拠みたいなもので、安静にしていると自然と元に戻ります」とお話します。

次に、「予期しない突発的なトラブル」を心配されている患者さんの場合です。硬膜外ブロックで起こりうる偶発的なトラブルの中で代表的なものが、脊髄を包んでいる硬膜を誤って刺してしまう硬膜誤穿刺(こうまくごせんし)です。硬膜誤穿刺により薬が硬膜の内側に入ってしまうと、盲腸の手術時などに行う腰椎麻酔のようになって、硬膜外ブロックよりも強い麻酔効果が現れます。足が動かなくなったり、血圧が下がったりして、点滴が必要になることもあります。ただしこのような症状は、少し時間はかかりますが局所麻酔の効果が切れるに伴い自然と回復します。その間、手術の麻酔のように、きちんと患者さんの状態を管理していれば、後遺症が発生するなど問題となることはありません。この硬膜誤穿刺が起こる確率は最近の報告では0.7%程度といわれています。トラブル発生を心配する患者さんには、発生頻度が極めて低い事、そしてもし発生したときも安全に対応できる事を説明します。

ペインクリニックに携わる医師は麻酔科のトレーニングを受けていて、救急時の対応にも慣れています。また、治療中は血圧や血液中酸素飽和度などをモニターして患者さんの状態を観察するようにしています。必要なとき適切な処置が取れるような体制になっているのです。

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