秋田県横手市梅の木町18-9

「高齢者の痛みの治療」

ある高齢の患者さんが、膝を痛めて病院に行きました。
患者:「先生、左の膝が痛くて痛くて大変です。なんとかならないでしょうか?」
医者:「うーん、これはどうも年のせいだな。どうにもならんなあ」
患者:「えっ。年のせいですか?」
医者:「そうじゃ、年のせいじゃ。諦めなさい」
患者:「じゃあ先生、お聞きしますけど。左の膝が痛いのが年のせいなら、こっちの右の膝はどうなんですか?こっちも同い年なんですけど」

以前、落語でこんな内容の小話を聞いたことがあります。
確かに高齢者の痛みは、腰椎の変形や、膝の関節の変形など、老化に伴う変化が原因であることが多いです。ある意味では病気というよりも体の自然な変化といえるかもしれません。でも、だからと言って症状が軽いわけでもなく、画期的な治療法があるわけでもなく、かえって治療に困ることがよくあります。この小話のように年のせいにしてすますことができれば簡単ですが、現実の診療ではそうはいきません。

高齢者の痛みの治療は、痛みの原因や性質、そして程度を正確に調べることから始まります。老化が大きな要因であるとはいっても、痛みが起きている状況はさまざまだからです。腰椎の圧迫骨折で痛みが強く身動きもできない場合もありますし、脊髄の神経がビリビリ痛んで長歩きできないというような状況もあります。それぞれの状況に見合った治療をする必要があります。

消炎鎮痛薬などの薬物療法は痛んでいる所の炎症を軽減したり、筋肉の緊張を和らげたりして痛みを楽にします。リハビリなど理学療法は長期的な意味で身体能力を高め、痛みの予防効果もあります。また、このような保存療法では効果が期待できなくて、手術が必要になることもあります。痛みの治療を専門にするペインクリニックでは、神経ブロックなどの注射を中心とした治療をします。高齢者であっても基本的には一般と同じように治療します。使う薬の量を加減し、患者さんの
状態を注意深く観察することで安全に実施することができます。神経ブロックなどの注射では変形した骨を元どおりに治したりする事はできませんが、麻酔薬の効果で痛みが軽くなり、また組織の循環も改善するため、症状が和らぐことが期待できます。変形性腰椎症などの腰下肢痛では1回の治療ではあまり楽にならなくても、数回治療を続けると少しずつ楽になる傾向があります。高齢者が神経ブロックを受けるとき注意しなければならないのは、他の病気の治療内容です。不整脈や脳梗
塞などで血栓予防の薬(抗凝固薬)を内服されている方では、神経ブロックが受けられない場合があります。

高齢者の痛みの程度や痛みから来る障害の程度は患者さんによって様々です。患者さんそれぞれの治療目標(痛み無くゆっくり眠る、家の中を歩けるようになる、散歩できるようになるなど)を立てて、根気よく治療することが大事です。

身体の痛みをやわらげる

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